KODAI KITA

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93.「未来の途中」の先を夢見る。/ 93. Dream Ahead of “on the way to the future”

口上

本展に参加する11名の若手作家たち。彼らは、京都工芸繊維大学美術工芸資料館が主催する「大学美術館を活用した美術工芸分野新人アーティスト育成プロジェクト」の2期生として、公募と推薦によって選ばれた若手作家たちです。彼らは同プロジェクトの1年目のプログラムとして、「これからの、未来の途中−美術・工芸・デザインの新鋭11人」展(京都工芸繊維大学美術工芸資料館、2015年1月〜2月)を開催しました。そして今年度、2年目のプログラムとして、京都にある15の大学附属ミュージアムのネットワークである「京都・大学ミュージアム連携」と連動し、京都造形芸術大学ARTZONEならびに、京都市立芸術大学ギャラリー@KCUAとタッグを組み、さらなる飛躍を目指します。
ARTZONEが11名の作家たちに準備したのは、言葉です。本展では、各作家にヒヤリングを行った上で、特定の美術ジャンルに固有な問題を扱うよう指示するものから、各作家の私的な趣味と関係するものまで、多様な言葉を参加作家たちに提示しました。
本展の参加作家たちは、これらの言葉の中から個々人の意思にもとづいていくつかを選択し、解釈・考察した成果を展覧します。むろん、どの言葉を選ぶのか、選んだ言葉をどのように解釈するのか、その結果として何を作るのかは、各作家の裁量に任せられています。しかしどのようなものを作るにせよ、言葉から出発することをルールとして課しているのです。
なぜこのようなことをするのか。それは裏切るためだと言えるでしょう。
本展の参加作家たちがまだ若手作家であることは間違いないにせよ、彼らは教育期間を卒業してすでに数年が経ち、自らの作風や制作スタイルを確立しつつあります。それは果たして、「成長」なのでしょうか。それとも、かつて可能性としてあったものが単なる慣行に変わったに過ぎないのでしょうか。
本展がインストラクションを準備した理由は、ここにあります。すなわち、固まりつつあるスタイルを敢えて裏切るために、他者の言葉を一旦受け入れること。それはちょうど、歩きなれた道とは違う道を敢えてとおってみることで、あたらしい風景に出会おうとする試みに似ているでしょう。
他者から与えられた言葉から出発した参加作家たちは、言葉の解釈・考察においてどのように言葉のありきたりな意味を裏切り、制作においてどのように自らの慣行を裏切るのでしょうか。そしてその結果、どのような「未来の途中」の先を夢見るのでしょうか。
ぜひご覧ください。

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会期: 2015年11月28日(土)-12月23日(水)

会場:ARTZONE

参加作家: 荒井理行、石井聖己、門田訓和、来田広大、嶋 春香、高野友実、谷 穹、本田亨一、前谷 開、牧山智恵、吉田奈々

キュラトリアル: 堤 拓也(ARTZONEディレクター) & 安河内宏法(京都工芸繊維大学美術工芸資料館特任助教) & 前谷 開(本展参加アーティスト) & 藤本悠里子(アートプロデュース学科3回生) & 宮﨑祐奈(同2回生)

主催:文化庁、京都工芸繊維大学美術工芸資料館、京都造形芸術大学ARTZONE

共催:京都造形芸術大学
文化庁委託事業「平成27年度次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」