KODAI KITA

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Birds-eye view

2010年に東京藝術大学大学院を卒業した来田広大(きた・こうだい/兵庫・1985~)は、現在、京都・大阪をベースに作品制作・発表を続 けるとともに、大学卒業後に移り住んだ福島・いわきでも定期的な発表を続けています。
近年、来田は一般的な絵画表現で用いられる絵具ではなく、学校などで使用されていたチョークを用いた絵画制作に取り組んでいます。 まるで黒板のようなキメの細かい表面を持つパネルには、チョークの粉の飛沫や伸びや擦れによる朧げな線と面によって、まるでどこかの「山(のようなもの)」が描き出されています。また、それは、そびえ立つ山脈を平地から見上げたかのような、あるいは飛行機や人工衛星から連峰を見下ろしたかのような不思議な視覚体験を鑑賞者にもたらします。
来田はチョークという特異な画材の特性を活かし、実在するか否かは不明なままにそこに神々しいまでの大きな山を描き出します。 また、チョークは子供の頃に道路に空想の風景を落書きして遊んでいた身体感覚を手がかりに、「遠くに想いを馳せる」ことを鑑賞者の記憶から呼び起こします。
来田の新作・近作20点あまりの絵画を一堂に展示する本展では、「距離」や「場」にまつわる視線と記憶の交錯する状況を生み出し、日々の延長では意識し得ない<距離の場>への意識を体験によって呼び起こすのではないでしょうか。

Gallery PARC ディレクター

会期:2013年9月3日(火)-9月15日(日)

会場:Gallery PARC