京都芸術大学芸術館秋季特別《SALAMANDER:jomonを這う》
京都芸術大学芸術館秋季特別《SALAMANDER:jomonを這う》
会期:2022年10月18日(火)ー11月19日(土)
会場:京都芸術大学芸術館
来田広大(絵画・現代美術)× 池田将(映画・映像)× 江南泰佐(音楽)
【展覧会概要】
京都芸術大学芸術館では当館が収集した縄文時代の土器類、シルクロード沿線の工芸品、明治期を代表する絵師・豊原国周の浮世絵、全国の郷土人形をコレクション展として公開しています。また、それらの資料・作品群を現代の美術作品とコラボレートする特別展も開催してきました。今季の特別展は、〈SALAMANDER:jomonを這う〉というテーマで、本館収蔵の縄文土器と3人のアーティストのコラボレーションによる展覧会を行います。
各地でのフィールドワークを通して、絵画やドローイングの制作、インスタレーションを展開する美術家・来田広大、全国の鳥居を撮り続けた映像作品で注目を集め、映画のプロジュース、撮影、監督としても活躍する池田将、ラジオDJ、音楽家としてのソロ活動、大所帯非楽器アンサンブルPOLY!など、サウンドを通したコミュニケーションの新たな試みに挑戦し続ける江南泰佐 ―今回の展覧会では共通テーマのもと、それぞれが新作に取り組みます。縄文土器と、絵画、映像、音楽によるインスタレーションをどうぞお楽しみください。
キュレーション:岡本康明(京都芸術大学客員教授)
京都芸術大学芸術館秋季特別《SALAMANDER:jomonを這う》 京都芸術大学芸術館 展示風景(2022)
photo: Kazuki Yoshimoto
《サラマンダー》 制作(野焼き)風景 岡山県真庭市にて
縄文土器を起点とした展覧会を開催するにあたり、本展の共通テーマを“火の精 サラマンダー”(オオサンショウウオ)にした。
約三千年前の縄文時代から姿形が変わっていない生物であることから「生きた化石」と呼ばれるオオサンショウウオ。とても不思議な姿で、大きな頭部と小さな手足で水の中をゆっくりと進み、ゴツゴツした岩のような皮膚が土器にも似たあの生物である。現在でもオオサンショウウオが数多く生息する岡山県真庭市にて「はんざきセンター」※に訪れたり、真庭市を流れる川での撮影や音の収録などのフィールドワークを通じて各々の作品制作を行った。(天然記念物になる前、この地域ではオオサンショウウオを日常的に食べており、調べてみるとどうやら縄文人たちも食べていたらしい)
そのような制作プロセスから、来田、池田、江南の3名で協働で制作したものがある。オオサンショウウオを模した立体を粘土で作り、真庭市の地域住民らにも協力してもらいながら縄文土器を生成する同じ方法「野焼き」で《サラマンダー》を焼き上げた。そのときの野焼きの火の映像を池田が映像作品に用い、収録した野焼きの音をその立体の中に設置したスピーカーから流れるように江南が音の作品を制作した。来田は絵画制作でサラマンダーのイメージを絵の中に投影させている。
縄文という遥か遠い過去から地続きにある現在。その応答として個人と協働の手によって立ち現れた作品や展示空間は、絵画であり、映画であり、そして音楽である。
2022年8月
制作協力:橘高七海 / 撮影協力:山田和俊
(※半分に裂けても生きていることから真庭ではオオサンショウウオを「はんざき」と呼んでいる)
【展覧会記録映像】
都芸術大学芸術館秋季特別《SALAMANDER:jomonを這う》
来田広大(絵画・現代美術)× 池田将(映画・映像)× 江南泰佐(音楽)
キュレーション:岡本康明(京都芸術大学客員教授)
制作協力:橘高七海
撮影協力:山田和俊
デザイン:竹内敦子(XS)
美術施工:黒飛忠紀(幸せ工務店)
会場記録(映像制作):吉本和樹