歩荷
《歩荷 “Bokka“ ーサンティアゴ・ソチーラ(オアハカ・メキシコ)》 2019 / 映像 06:39min 撮影:荒井規向(文化人類学/ラテンアメリカ研究者)
《歩荷 “Bokka“ ー房総半島、山》 2021-22 / 映像 06:39min 撮影・編集:来田広大
Statement
「贈与」を研究する文化人類学者の荒井氏のフィールドワークの資料から、メキシコのオアハカ北部山地でアガベを収穫する映像を見た。
そのアガベを運ぶ姿は、自身のリサーチのための登山や学生時代の山小屋での仕事(歩荷など)とよく似ており、私は日本でもアガベを背負って運び(その重さを再現し)、彼らの場所の風景に少しでも触れることはできないだろうかと考えた。
共通する重さや運ぶという行為を通じて、それは何のための重さであるのかを身体を使って考える。
そして同時に移動が困難である現代の「旅」の在り方への応答として、遠い地へ想像力を働かせることはできないだろうか。
※アガベはメスカルという蒸留酒の原料
※荒井規向 Norihisa Arai 文化人類学/ラテンアメリカ研究者、メキシコ国立自治大学 博士|メキシコ在住 1986年三重県生まれ。メキシコシティ在住。2011年大阪大学外国語学部中南米地域文化専攻卒業。2016年メキシコ国立自治大学哲文学部ラテンアメリカ研究科修士課程修了。2022年同大博士課程修了予定。多様な代替経済のあり方に、贈与・互酬の原理が大きな役割を果たしていることを認識し、メソアメリカやアンデスの先住民コミュニティにおけるフィールドワークを通じた互酬的社会経済関係の比較研究を行うことで、贈与論の今日的意義を問う試みを続けている。
※本展の「旅のかたち」展で荒井氏は研究者として参加
《アガベ》 2021 / 粘土、木、シュロ縄など / 80×60×30cm 協力:松本誠史、大前春菜、中屋敷智生
《歩荷 Bokka》月出工舎(千葉県市原市) 展示風景(2022) 「旅のかたち」いちはら×メキシコ 月出工舎国際交流企画展
photo: Kazuki Yoshimoto